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皇帝の娘 第1章 法廷での茶番

The Emperor’s Daughter

By Razor7826 (Copyright 2008)

「『世の中は因果応報じゃ』父はたとえ絶え間ない戦争のさなか、つかの間の休息を

得てもいつもそう言っておりました。

  あなたがた臣民たちが何といおうと、お父様は頭がよく優しい方でした。私とて

彼が多くの人を殺しことは存じております。しかし彼が血に飢えていたというの

は明解な誤りです。好き好んで殺人を命じたわけではなく、ほとんどの場合、殺

された人間にはそうされるべき理由があっただと私は信じております。」。

陪審員たちが彼らの意見を裁判官に手渡す間、私は広々として古くさい歴史的な

法廷に仮面をつけた弁護士の傍らに立っていた。私は陪審長が、手渡された書類を

めくりながら「有罪」「有罪」と読み上げる間、私は穏やかな態度を維持していたが、

内心は怒りの炎でやけどをしそうだった。私は、いったいどんな顔で「有罪」などと

いえるのかと、見覚えのある審査員たちの顔を見渡していた。

 殺人、暴行、不正な懲役、窃盗、強姦に加え、検察が個人的復讐のために付け加

えたかったありとあらゆるでっち上げの罪は全部で273件に及んだ。半分の罪はでっ

ち上げだったが、被告が史上最も忌み嫌われる君主の娘であれば、公平な判断が行

われないのは当然だった。この最悪な事態は、あらゆる弁護士が私の弁護を断り、

ただ一人の公選弁護人だけが、仮面をつけることを条件にこの法廷に出ることを承知

したときから明らかだった。

 裁判それ自身が茶番であった。すべては私が有罪であることを認定するためだけ

の儀式だった。私を弁護してくれる証人は皆無だった。私は自分が行った行為を

否定しなかったが、その合法性に関しては検察と私では真正面から衝突した。私は

皇帝の娘なのだから、その行為は合法であったと私は主張したが、もはや私の、いや

父皇帝自体の権威を認めていない彼らは、私を嘲笑するだけだった。

私をその日のうちに護送された。もはや私は新政府の中央施設に滞在することを許さ

れないが、その代わり、もっと静かな場所に移される。私の残りの人生をおくるのに

ふさわしい静かで隔離された場所に・・・弁護士はそういったが、それは真っ赤な

嘘だった。
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