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第4章 コルセット装着

「ああ、息がつまりそうよ。なんてひどい
コルセットなの‥」
「おおエルシイ、そんなにひどく締め上げな
いで! 息もできやしないわ。やめて!」
「大人しくしていらしてください、メリー
アン。へンダーソソ様はとくにこのドレスを
あなたに選んでくださったのですよ。もう少
しのご辛抱ですからね」
 「それじやあ。スカー卜を取り替えて、ひど
いきつさだわ」
 「いけません。我慢なさいませ。さあ、もう
 一度深く息を吸って、お腹をへこませて」

mp2.jpg


 「ああっ、息が詰まりそうよ。なんてひ
どいコルセットトなの‥ あら、ファンじゃな
いの。おまえ、なぜレディが着替えしている
ところへなんか来たの? シー!、出てお行
き!エルシイ、この中国人を迫い出して!」
 メリイーアンはヒステリックに吽んだ。
 「突っ立って見物してないで、手伝っておく
れ。中国さん」
 呆然とするメリイーアンを尻目に、エル
シイは中国人の召使いを招き寄せた。
 ジャマイカ人の女中は、肌もあらわな自人
の美少女を男の、しかも東洋人の召し使いの目
に触れさせることを、なんとも思っていない
ようだった。
 ファンは、猫のようにしなやかな軽い動作
で、サッとメリイーアンの後ろに回って、彼
女の両ひじをつかんでしっかり押さえつけ
た。
 エルシイは床に膝をついて、メリイーアン
のスカートの着つけを直し、コルセット卜の
紐をギュウギュウ締め上げた。
 その間メリーアンは、ずっと苦痛と息苦
しさに悲鳴を上げ通しだった。
 「なんて乱暴で、失礼な召使いなの。二人と
も! いいわ覚えていらっしやい。後でポー
ル伯父様に言いつけて上げるわ。ファン、と
くにおまえの無礼は絶対に許せないわよ」
 メリイーアソの美しい顔は、怒りと羞恥に
上気して、更にチャーミングだった。
 「そんなご心配には及びませんですよ、お嬢
さま。私は今までにも、これからも必ず、こ
ういう場面に立会うご命令を受けております
のでね」
 いやらしい支那人は、ていねいにだが、冷
笑をこめて言うと、音もなくスーと部屋を
出て行った。

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