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私家版鬼ゆり峠 第7章 仇討状切り裂きの本当の理由

「では今よりこの仇討ち認可状をズタズタに引き裂くが異存はないで
 あろうな」
 と念をおすようにいうと、浪路はそれより視線をそらせて
「異、異存はございませぬ」
と一言声を震わせていい、また一際激しい声で泣きじゃくるのだった。

物語全体の白眉シーンですが、これが尻へのタコ糸通しを受けた苦しみを回避するために苦し紛れに吐いた、という点は残念でたまりません。命より大切な認可状をそんなことで破らせていいの?と茶々を入れたくなります。

 それではどういう風な理由なら納得するのか、

「まさか浪路殿がこんなあぶな絵を持っているとはな」
「不能な夫をかかえて女盛りの身を持て余したのであろうよ」
0801cc.jpg

それは、亡き父からの手紙に同封されていたものであった。
~剣術の稽古も学問もよいが肝心の夜の営みの方はどうなっているのか~
~夫が性的に未熟でも、無理に精を搾り出し、子をなすのが嫁のつとめではないか~
~母上からは何も教えられておらぬのか?それならこの絵でもみて学ぶがよい~
亡き人の形見の手紙をそっと封印しておいた浪路の優しさなど重四郎にとってはどうでも
よいことであった。
「この書状は格好の瓦版ネタでござる。
 仇討ち状ともども高く売り払う所存でござるが、浪路どのの存念はいかがか?」
「お願いでございます、それだけはお許しください」
「人目の触れないようにズタズタに切り裂いて欲しいと言われるか?」
「はい、もちろんでごさいます。後生でございますから・・」
 みすみす10両になろうかという話だ・・いくら浪路どのの願いといってもそう簡単に
 聞き届けるわけにはいかん・・そうだ、こうしよう。この書類ともども、仇討の認可状
 も破り捨てることを承知されるなら、その通りにしよう。だが、この枕絵だけを切り裂 
 くわけにはいかんぞ・・さて、どうされる?」
「考えるまでもなかろう?こんなものが瓦版で流布されればそこもとばかりか戸山家
の恥にもなることだ。嫁としてこれ以上の裏切りはござるまい。ここは潔く仇討など
断念されたが身の為であろう?どうだな、浪路殿」

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