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間違った出口 第一章間違いの始まり

間違った出口
highway.jpg

キャシーは母親のシャロンが暗くなった高速道路を運転
している傍らでうとうとしていた。 シャロンは4時間運転
してそろそろ疲れを感じていた。まだまだ魅力的な43歳だが
こうして長く同じ姿勢でいると背中が痛み、年齢を感じない
ではいられなかった。

ただ、隣りに座るかわいい17人の娘を時々ちらりと見る
ことが気晴らしだった。多忙な今時間を割いただけの成果は
あがった、とシャロンはホッとする思いだった。 彼女はキャ
シーにふさわしい名門女子高を選びだした、そこに学ぶこと
はシカゴの社会エリートの仲間入りを保証するはずだった。
卒業後、家柄がよく経済的に恵まれた家庭の少年たちに紹介さ
れるまで、キャシーは異性とのトラブルなどなく過ごすことが
できるはずだった。 シャロンは、娘のための将来計画に満足
し、われながらよくやったとため息をついた。
woman-driver.jpg

校長との会話を反芻していたため、シャロンは本来の出口より
一つ手前の出口を選んでしまった。 まずい、と思ったシャロンは
家で成果を待っている夫の元へ一刻も早く帰るべく高速道路へ戻
ろうとしたが、それが反ってあだとなり、とうとう自分の位置が
わからなくなってしまった。くすんだような背の低い汚い建物が
ならぶ一角に迷い込んだのでシャロンは警戒してドアをロックし
た。その音で、キャシーは目をさましました。
「どうしたの、ママ。道に迷っちゃったの?」
「大丈夫よ。すぐに高速に戻れるわ。」
シャロンが期待したほど、その言葉には説得力はなかった。

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