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10章 終わり、それとも始まり?

婚記念日から3か月後ーローリーは自宅から100マイル離れたホテルの部屋一室に

一人で座り込んでいた。

彼女は3日間の出張にでかけなくてはならないと自宅をあとにしたのだったが、本来

の商用は最初の日に済んでしまった。残り2日ーその第一日は妊娠を診断した婦人科

医を指名して、黒い強姦者により植えつけられた子を中絶してもらい、最後の一日で

体調を整え、愛する夫のもとへ帰る、というのが彼女の計画だった。

 この数か月というもの、ローリは仕事に没頭しあの恐ろしい悪夢を心の中から追い

出そうと努めた。来るべき女の徴~生理出血はおとずれなかった。あの産婦人科医師

のいう通りだわ、とローリーは覚悟した。夫に商用で出かけると告げたのはまんざら

すべてが嘘というわけではなかったが、一日で用が足りるのに3日かかるといったのは

明らかに嘘だった。

『たとえレイプされてできた子であっても中絶は許されない!』

保守的な家庭で育ったローリーにとってこの命題は絶対だった。しかし現実的な危機

に際して、結局この教えを放棄せざるを得なかった・・つらい決断だった。クリニック

ではすべてが極めて事務的で、ローリーはそれほどの葛藤を抱かなくて済んだが、まだ

生徒といった方がよい年齢の女性とすれ違った時にはショックを受けた。

091511-national-regulations-virginia-abortion-clinics.jpg


 それはともかく、自分の腹から望まぬ子を中絶した今となっては、もはや自分の身体

の中であの卑劣なレイプ犯の胤が大きくなっていくという耐えられない思いから解放さ

れる。商用旅行と嘘をついて行ってきた産夫人科医への受診も終わるのだという思いが

彼女をほっとさせた。

i-had-an-abortion.jpg


 これで一段落よ、ちょっと寄り道しただけ・・あの忌まわしい出来事が起る前の人生

に帰るのだわ、とローリーは考えた。しかし彼女は自分を強姦した男が船の内部のキャ

ビンで行ったあのスリルを忘れなかったおらず、ただ、ローリー自身が自分自身で後

始末をするための時間的猶予を与えているだけだとはつゆ思わなかった。

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