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第20章 変身

話は少しさかのぼる

 ローリーが目覚めたのはモーテルのおぞましい事件の翌日だった。ようやく

目覚めた女は二度と戻りたくなかった、あの「船室」にいた。一糸もまとわぬ

みじめな姿で粗末なベッドに大の字に括られたローリーに、あのおぞましい声

がかたりかけた

「シンデレラはようやくお目覚めかい?」

船室の下で周遊船エンジンが大きく鳴る音を聞き、ローリーは自分が海上にいる

ことをいやでも理解したのだった。

「もうわかったろ?昨日のことは夢じゃなくて現実なんだ。そして今お前がここ

にいることも、これからおこることもすべて現実なんだ」

それでも、ローリーはごくありふれた、無駄なつまらない言葉を口にしたので、

オマールは笑いを禁じ得なかった

「だめよ、戻らなくちゃ・・夫が不思議に思っているわ。」

「まだわからないのか?自分がどんな立場にいるのか・・・」

 オマールがラジオをつけ、ニュース番組が流れ始めた。州警察だけじゃなく

て国中の警察が行方不明のローリーウォーカー夫人の捜索に動いていること、

当初第三者による誘拐か犯罪説が有力だったが、夫や勤務先にも行き先や目

的を告げず、長距離を自家用車でモーテルに入ったことが判明するにつれ、

事件はにわかにスキャンダルの様相を呈してきた・・ローリーは自分がとん

でもない試練に直面していることをようやく理解しはじめた。

 「だいたいは飲み込めたようだな・・だがそれだけじゃ不十分だ。これ

から何がおこるのか、お前の身体で悟るんだな」

 オマールがにやにや笑いながらどこかに携帯電話をかけると、オマールにも

劣らない大男たちが、どやどやと7人も入り込んできたのだった。

0606004.jpg


「ここが、防音装置つきだということはこの間教えたよな。だからうんと泣き

叫ぶがいいぜ、声がかれるまで・・・猿轡なんか締めたら口でおしゃぶりが

できなくなっちまうものな」

 そういいながらオマールは部屋の四方の壁を覆っていたカーテンを引くと

大型の鏡が次々と現れた。あっけにとられるローリーを尻目に、オマールが

ボタンを押すと天井にまで鏡が現れた。

「どうだい、これでどこを向いても男に苛まれる自分の姿が見えるってわけ

だ。これだけの工夫をしているんだぜ。うんと楽しむんだな。」

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