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試着室 第3章 赤いドレス

「私はとにかくこのセーターを試着したところです、ドレスを見に着けるのは

私のこの買い物のこのチェックが終わってからでいいんですよね?」

私は割り切ってたずねたが。彼は大変礼儀正しい態度で、ご不便をおかけし申し

訳けないがそう願えればと感謝と謝罪を表明した。困った時はおたがいさまだし

さほど急いでいるわけではないので、私は気にしなかった。私は更衣室に戻り

セーターを試着することにした。試着室は小さく、全身を移してみるには鏡

が非常に近かったので、私は試着室の外に出て、店の中央にある三面鏡でそれを

確認した。

「ごめんなさい。お時間がないのだから、ドレスを先にすればよかったですね。」

と私は男性と話しながら試着室に急いだ。

男性は、「いや、こちらの都合であなたの時間を無駄にするわけにはいきません」

と礼儀正しく述べた。

とにかく試着室に戻った私は、ドレスを見に着けるためにセーターとジーンズを

脱いだ。あたりに人はいなかったが、とにかく彼はすぐ傍にいるわけだから、床に

落ちたジーンズや、私の生脚が眼に入らないはずはなく、男性がそれをどう思うか

一瞬気にならないではなかった。しかしそんなことよりドレスの方が問題だった。

083001.jpg


全体としてそれはそれは大き過ぎるのだが、ネックラインが急なので、ブラが邪魔

なのだ。私はカーテンの分かれ目から顔を出し、男性に、店員に一回り小さいサイ

ズをもってくるように連絡してくれといった。彼は「わかりました」と答え、私は今

試着したドレスを手渡しした。しばらくして、彼はカーテンの前で

「あの、よろしいでしょうか」とたずねた。

私は再度カーテンの別れ目から顔を出し、新しい服を受け取った。

カーテンを閉め、ドレスを下からハングアップする間に、私は男性が直接またはミラー

越しに私の姿を一瞬見ていたかも知れないと気がついた。そして、カーテンを中心で

しっかり止めなくてはいけないのに、少し隙間を残したままだったことに気がついた。

ほんの少しの隙間だったが、外から直接あるいは鏡を覗くには十分だった。はっと

おもって鏡を見た私の眼に男性の姿がうつった。男性も自分の位置を変えて、私を見て

いた可能性が疑われる。

changing-room.jpg

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