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烈女お雪の最期 第一章 新たな輿入れ

内藤左近は甚八に注がれた酒をうまそうに喉へ流しこみながら、

「いや、甘露、甘露。慶応以来積年の恨みがようやく晴れた心地だ」

といった。お雪と銀次郎の夫婦の行為を酒の肴にして、房江、甚八、内藤左近、

三人の酒盛りが土蔵の中で始まったのだ。

「お雪は元は大層な家柄だったそうですね」

「おお、なにしろ父は藩の勘定方の重鎮井上丘隅、嫁いだ先は一千二百石の藩老

 仁保内蔵助の長男で、主君から特に長崎留学のご指示をたまわった秀才仁保

 修理だからな。あの祝言の華やかさ・・今でも眼を閉じると浮かんでくるわ。」

「その話は前にも聞きましたよ、先生。白無垢姿の凛として花嫁姿だったん
 でしょう?さぞかしお似合いの美男美女だったんでしょうな・・?」

「ああ、あれでは拙者ごときの付文など無視されたのもしかたがない、と思った。
 
 だが、このままでは済ませぬぞ、と誓ったのも事実だ。もちろん、俺のような

 身分の低いものに、直接手をくだせるわけがない。だから頭を使ったのよ」

左近は注がれた杯をのみ干すと

「鳥羽・伏見 の戦いに敗れたとき、その敗因はあやつが西国の士に知己が多く

 西軍に通じているためだと噂を流ふりまいた張本人は俺だ・・だからあいつが

 あやつが切腹を命じられ慶応四年自刃したのは、俺が手を下したのも同然なのだ」

と昂然と言い放った。

「それじゃ、先生の敵討ちはもう終わったんじゃありませんか」

「馬鹿をいうな、袖にされ、朋輩からも馬鹿にされた恨みがそう簡単に癒える
 
 わけはなかろう。おれは万事徹底しないと気がすまない性質なのだ。」

「成る程、それで身包み剥いで女郎屋に叩き売っただけでは満足できず、思いを

 遂げたあとは薄馬鹿の銀次郎と祝言をあげさせたってわけですね。」

「その通りだ。銀次郎は、筋目いやしき下郎で、ごらんの通りのご面相。
 
 女とヤルだけしか脳のない薄馬鹿だ。元藩老のお家柄の奥方が、恥を忍んで

 輿入れするにはこれ以上ない相手と思うがどうかな?」

「あら、先生、元奥方や白菊隊の隊長だかは知りませんが、今はただの

女郎ですし一歩外にでれば勤旗に逆らったお尋ね者としてたちまち処刑さ

れる罪人ですならね。銀次郎は過ぎた婿だと思いますけど・・」

「ハハハ、ただの女郎か・・・」

 左近は幾度もそれをくり返し、すっかり酩酊して甲高い声で笑いこけるのだった。

  悪鬼にも似た3人に取り囲まれ 銀次郎に抱き取られている雪は、自分が今

どういう状態になっているのかわからないくらい、意識は朦朧となり、肉体は

溶けただれるほどに痺れ切っている。

緊縛されたままの裸身の上に銀太郎の裸身を乗せ上げていたかと思うと、何時の

間にか自分を相手の上に乗せ上げ、相手の手管に煽られながら同調し合うように

腰部を反復させ合い、脚と脚とをからませ合っているのだ。

銀太郎に揺さぶられ、振り廻され、お雪は息も絶え絶えに疲れ切り、もう声すら

あげられない状態に陥っている。

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