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第13章 地獄への第一歩

 勤務先に休暇の申し出をし、夫には仕事があるからいつもより早くでかける

からと断って、ローリーはトレンチコートの下にパーティドレスを着て寝室を

あとにした。指定されたスウィートポートまでは相当な距離があったので、

指定時間に間に合うには法定限度ぎりぎりの高速で車を飛ばす必要があった。

運転中ずっと、ローリーは胸の高鳴りを感じ、またこれから訪れる運命に身を

震わせていた。

053101.jpg


 高速道路につながる一般道は信じられないほど荒れていた。できればそっと

車を走らせたがったが、知らない道なのでどのくらい時間がかかるかわからない

ーやむを得ずトップスピードを維持したまま走らすと車は分解してしまうので

はないかと疑われるほど激しく揺れた。目的地に近ずくと道路の荒れっぷりは

いよいよひどくなり、ガタンと車が揺れたとたん、強姦者が彼女の口で彼の

‘モノ’をまきちらした時のヌルヌルした触感とひどい臭いと味がよみがえり、

ローリーは思わず前かがみになり鳩尾に手をやった。吐き気をこらえて車を

駐車上にいれると、道路の反対側におよそ粗末で薄汚い外観には似合わない

「天使の隠れ家」という看板が見えた。105号室というプレートも遠くから明

らかだった。午前8時55分ー約束の時間まで5分の余裕があった。

今ならまだ間に合うわ。いっそここから逃げてしまおうかしら・・ローリー

は一瞬迷った。自分を船上で犯した男が、メールで暗示したように夫と上司に

あの恐ろしい写真を本当に送るか賭けてみようか・・しかしあの写真をみた人

がそれをどう思うか考えると他に方法はなかった。彼女の引き締まった頬を

涙が流れ落ちた。ドアをあけ、あたりを見回す・・この時間にはさすがに誰も

いないようだった。

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